松露酒造の歴史
農家が出資し合った株式の蔵元
昭和3年、地域の農家10数軒が株主になって「姥ヶ迫(うばがさこ)焼酎株式会社」を設立したのが蔵の始まりです。当時の焼酎蔵は個人商店が多く、株式会社としての創業したのは珍しかったといいます。株主のひとりが現在の社長である矢野貞次さんの祖父で、昭和24年に矢野さんの父親が社長に就任し、昭和46年に松露酒造株式会社に社名変更。その後平成2年に現社長が継いで、伝統の味、郷土の焼酎の味を守り続けています。
蔵のこだわり
もっと違う焼酎が飲みたいと探す人が喜ぶ味
主力商品は本格芋焼酎『松露』。「近頃の芋焼酎は、あっさりタイプが多くなっていますが、うちのは味が濃く飲みごたえがある焼酎。いわゆる焼酎飲み(焼酎が好きな人)が好む芋焼酎」。その理由は、そういう焼酎こそ、社長をはじめ蔵人が好きで、造りたいも焼酎だから。「焼酎をもっと知りたい、もっと違う焼酎を飲んでみたいと探し求める人が喜んでくれるような焼酎だと思います。それには、この土地で続いた昔ながらの焼酎をしっかりと守ることです。松露はここにしかない味なんです」(矢野さん)
うまい水と蔵付き酵母
創業当初の社名に付いている姥ヶ迫とは、このあたりの地名で、「姥ヶ迫にうまい水あり」といわれた場所です。一帯は火山灰が堆積してできたシラス台地で、そこをくぐって湧き出る地下水は昔から知られるうまい水だったのです。
酵母は最初に「宮崎酵母」をスターターとして使用し、その後もろみをすくって次々に継ぎ足す作業を続けるうちに、数週間で今度は蔵付き酵母がどんどん働くようになります。蔵付き酵母はどの蔵にもいて、その影響を強く受けるため、最終的にはうちの酵母で、この蔵の味に元になるもろみがどんどんできてくるんです。それが焼酎の特長になるんですよ」(矢野さん)
昔ながらと、特別な焼酎
原料の芋を洗う機械は、動力が水車から電気に変わったぐらいで、原理は昔と変わりません。芋は『松露』には黄金千貫、黒麹仕込み『松露』には宮崎紅という南九州産の甘い赤芋だけを使います。同じ『松露』、同じ本格芋焼酎であっても、原料の品種によって、香りや味わいがガラリと変わります。
蒸留の仕方でも味わいが変わり、焼酎の最高度数44度で蒸留し水を加えずに瓶詰めした『特別蒸留原酒』や、アルコール度数37度で加水していない『松露原酒』といった商品も造っています。
松露酒造の杜氏は、普段は農業をしていて、9月から12月の仕込みの時期だけ焼酎造りに来ています。昔はそうやって、取れた芋や米を使って農閑期に自家用に造っていたのが焼酎でした。
昔ながらの焼酎は、味だけでなく、その製法、杜氏の仕事の仕方も受け継いでいるのです。
会社概要
会社名 | 松露酒造株式会社 |
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住所 | 串間市寺里1-17-5 |
電話 | 0987-72-0221 |
FAX | 0987-72-2883 |
蔵見学 | 不可 |
webサイト | http://shouro-shuzou.co.jp |