宮田本店の『歴史』
小さな蔵でていねいに醸す
日南海岸に面し、風光明媚な日南市大堂津にある宮田本店。すぐそばには大堂津海水浴場があり、蔵の裏手には細田川がゆったりと流れています。
創業は1804(文化元)年。初代・宮田萬吉氏が参勤交代の途中、大阪で煙草入れを拾い、落とし主よりお礼として酢の醸造を伝授され、故郷に帰り酢屋を始めました。1921(大正10)年に4代目が焼酎の製造を、1928(昭和3)年にみりん・醤油の製造を始めました。同年に建てられた石蔵は地元の榎原石を使っており、80年以上経った今も堂々とした佇まいを見せています。
2011(平成23)年に7代目の宮田育紀氏が逝去し、現在は育紀氏の奥さまの千賀子さんが7.5代目として杜氏と代表取締役を務めています。8代目となる息子さんは、2015年(平成27年)3月に東京農業大学を卒業し、焼酎造りの修業中です。
造りへのこだわり
機械に頼らない麹造り
宮田本店の焼酎造りは、代々引き継がれてきた技と、使い込まれてきた道具を使って丁寧に仕込みます。
麹(こうじ)造りは「床麹法」という方法で行います。まず甑(こしき)と呼ばれる米蒸し器で米を蒸し、麹室(むろ)に設けられた大きな台の上に広げ、そこに麹菌を振りかけて3日間かけて麹を造ります。製麹機での麹造りが多い中、洗米、米蒸し、種付け、手入れとすべて人の手で行っています。
もろみが語りかける甕仕込み
原料の芋は黄金千貫を使用。圧力釜を使って一気に蒸しあげます。蒸気で蒸すのと違って、旨みがぎゅっと詰まったものができあがるのだそうです。
一次仕込み、二次仕込みともに代々使われてきた国産の甕を使っています。温度管理に注意し、櫂入れをしながらもろみの発酵を見守ります。
二次もろみが発酵する様子を見るのが大好きだという千賀子さん。一日中見ていても飽きないと話します。「甕に近づいていくと、もろみが”いらっしゃい”と言ってくれるんです。温度が上がっていると”暑いから来てー”と声が聞こえてきたりして」。笑いながら話す千賀子さんの表情は、まさに我が子を見守る母の顔をしていました。
宮田本店の焼酎
原料の味が際立つ常圧蒸留
宮田本店の焼酎は、常圧蒸留にこだわります。蒸留後、丁寧にろ過し、熟成させてできあがる主力商品「日南娘(ひなむすめ)」はやさしい芋の香りと軽快な甘み、しっかりとした味わいに。女性にも飲みやすいソフトな焼酎です。
皮むき芋を使って仕込み、貯蔵も甕で行った「銀の星」は平成24、25年と2年連続で熊本国税局酒類鑑評会で優等賞を受賞しました。このほか米の香りが口いっぱいに広がり、清涼な風味の米焼酎「宮田屋」があります。
「小さな蔵なので、生産量は多くありません。以前は”直々売”といって、各家庭をまわって売っていました。10数年前に酒販店の目に止まり、広まっていきました。生産量もその頃の6倍近くになりましたが、県内では小規模の蔵元だと思います」と千賀子さんは話します。
「主人が亡くなって、私たちだけで造った焼酎が賞をもらったときは本当にうれしかったです」。
杜氏コメント
杜氏・代表取締役 宮田千賀子さん
「うちは昔から女性が積極的に焼酎造りに関わっています。麹造りや櫂入れも女性がしているんですよ」と千賀子さん。「小さな蔵なので、みんなで一緒に造っているという意識が強いですね。亡くなった主人が几帳面な性格で、データをすべてノートに記録していてくれていたので、今はそれを元に主人の味を守り続けています。近い将来、息子がそれを引き継いでくれるでしょう」。
蔵人紹介
写真左から
竹井俊雄さん
仕事を終えてほっとする時の一杯に、ぜひ焼酎を飲んでください。疲れもとれますよ。
丸山博実さん
自分たちが造った焼酎を、飲んだ人たちが笑顔でおいしいと言ってくれたらうれしいです。
会社概要
会社名 | 株式会社 宮田本店 |
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住所 | 宮崎県日南市大堂津4丁目1番8号 |
電話 | 0987-27-1131 |
FAX | 0987-271132 |
蔵見学 | 不可 |
webサイト | http://www.hinamusume.jp |