寿海酒造の歴史
古い小さな蔵が集まった、新しい大きな蔵
昭和60(1985)年、寿海酒造は宮崎県内で初の協業組合として設立されました。協業組合とは、それぞれの会社が資金を出し合い、新たな会社を作る形で設立した組織で、同社の場合は串間市で100年以上の歴史を持つ5つの焼酎メーカー(國光焼酎、玉之露醸造、吉田焼酎、石上商店、谷村酒造)がその名前を残したまま、技術を集めた新しい蔵元が誕生しました。この方法は、小さな蔵元が集まる鹿児島県でも行われましたが後に株式に移行した組合が多く、同社も平成22年に組織変更しました。
地域と蔵の歴史を物語る
焼酎は、もともと地元の人たちが農閑期に造って楽しむものでした。集まった5社も小さいながら、『国光』『玉の露』『くろつち』『春光』『百薬の長』の銘柄を持っていましたが、時代とともに流通が変化し、外からの焼酎が入ってくるようになると太刀打ちできなくなっていきました。
そのため協業組合の設立時は、「なんとしてでも成功させる。そうでなければ私たち5社の焼酎の歴史が終わってしまう」という覚悟だったと専務の国府紀光さん。応接室に並ぶ5本の焼酎は、まさに蔵と地域の歴史を物語るシンボルとして、蔵人たちを見守り応援し続けているようです。
原料のこだわり
甘くおいしい串間の甘藷で造る
旗艦商品である本格芋焼酎【ひむか寿 赤芋仕込み。】には、地元特産の宮崎紅(赤芋)を使用しています。宮崎紅は、皮が赤く中身は黄色、食べてもほくほくして甘くおいしい品種です。焼酎用には、規格外の大きいものをJAや仲買業者、契約農家から買い取っています。一般に焼酎の仕込みは芋を収穫する8~9月から年末あたりまでですが、この地方では収穫した芋を火山灰が堆積したシラス土壌に掘った室や空調設備を完備した貯蔵庫に保管することで鮮度が保たれるため、年間通して芋焼酎の仕込みを行っています。
水は林に囲まれた工場敷地内から湧き出る湧水を使っています。
環境への取り組み
焼酎かすを飼料に牛を育てる
焼酎かすの処理のため、平成18年に農業生産法人 有限会社「チァフルカウズ」を設立して、肉用牛の肥育を始めました。(平成27年3月現在310頭)
寿海酒造と(有)チァフルカウズの取組みは、焼酎製造にて排出される「焼酎かす」を飼育牛に供与して、(有)チァフルカウズの飼料費の軽減、牛自体のストレス解消や事故怪我防止、そして特筆すべきは「焼酎かす」に含まれる成分(アミノ酸等)による肉質の向上など、まさに一石何鳥もの効果を発揮しております。
さらに、牛舎から出る牛ふんは堆肥に加工し、それを畑に利用するという、循環型社会のサイクルが出来上がっています。
若い人たちへのメッセージ
まるでお芋のような甘い香りが受けてます
「赤いダイヤとも形容される串間の赤芋で仕込む『ひむか寿 赤芋仕込み。』は、飲み口がソフトで、口に含むと甘くおいしい芋の香りがやさしく広がる焼酎です。マイルドで都会的ともいわれます。食前酒としても、食事をしながらでも、楽しく飲んでいただける焼酎です。また、その年に完成した原酒の中から厳選し、一切のブレンドをしないまま瓶詰めした限定酒【濁り銀シリーズ】など、味わいの幅広さ、奥深さも魅力のひとつです」「また、本格しょうちゅうは一回のみの単式蒸留酒で、その成分の99%がエチルアルコールと水でできています。残り1%の成分が、その銘柄の香味成分を決定付ける要素で、主にエチルエステル等の低級・高級アルコールであります。本格しょうちゅうの味わいに、芳醇で複雑な奥深いまろやかさと香りをもたらしてくれる、この1%の為に最善を尽くしより良き焼酎造りに努めております。」(国府さん)
会社概要
会社名 | 寿海酒造株式会社 |
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住所 | 串間市大字北方1295 |
電話 | 0987-72-5611 |
FAX | 0987-72-4355 |
蔵見学 | 可(事前要予約、繁忙期にはお断りする場合もございます)、営業時間8:00~17:00 |
webサイト | http://www.jyukai-shuzou.jp |