姫泉酒造の歴史
七代目が受け継ぐ伝統と技術
酒蔵としての歴史は天保2(1831)年にさかのぼります。昭和43年ごろまでは清酒の製造販売を行っていました。昔の高千穂地方は、焼酎より清酒の蔵元が多かったそうです。
同社が現在使っている建物はもう130年以上前のもので、いわゆる蔵に住み着いている「酵母(蔵付き酵母)」や「麹菌」を、柱や天井などに見ることができます。これらが手助けすることで、この蔵ならではの味や風味を醸し出しているのです。
現在は、七代目当主となる姫野建夫さんが伝統と焼酎づくりの技術を受け継いでいます。
姫泉酒造のこだわり
本来のうまみを残す無濾過
姫泉酒造では、本格麦焼酎、本格芋焼酎、本格そば焼酎、本格もち米焼酎と多くの種類を造っています。
本格芋焼酎では「無濾過」という醸造法にこだわりをもっています。銘柄は、黄金千貫(サツマイモ)に白麹仕込み、常圧蒸留仕立ての『無濾過御幣(ごへい)』。「機械による濾過は、本来のうまみまで取り去ってしまう」という理由から、ごみや余分な油分だけを手ですくうという手間のかかる方法をとっています。
仕込み水には、五ヶ瀬川沿いにある蔵の対岸から湧き出る湧水を使用しています。「醸造に欠かせないこの水があるから、ここに蔵を建てたそうです」(姫野さん)
商品の名前紹介
地元の文化と蔵の誇りを名前に
メインの商品(芋、麦)に付いている『御幣』とは、神前に備える稲妻型に切った白い紙細工のことで、宮崎の冬の風物詩夜神楽(よかぐら)で神々を迎える場に欠かせないものです。その年の恵みを感謝する夜神楽に、焼酎『御幣』もお供えとして並びます。『ほしゃどん』も夜神楽の舞い手を指しています。
創業年の名前をつけた本格麦焼酎『天保二年』は、蔵の伝統を守って造る黒麹仕込みで、常圧蒸留仕立て。平成12(2000)年に宮崎で開催された九州・沖縄サミット宮崎外相会合の際にレセプションとお土産用に選ばれました。
七代目当主のこだわり、思い
造り続ける独自の味
「うちは基本的に鹿児島酵母を使っています。私が大学卒業後に焼酎の勉強に行ったのが鹿児島の工業試験場で、そこで酵母作りも学んだんです。それが今も続いています。これまでに他にも試してみましたが、うちが大量仕込みをしないことや、私が目指す味を出すには使い慣れた酵母がいいようです。
もち米焼酎『やま里』は、日之影町内で取れたもち米を100%使って、独特なコクと甘みがある焼酎になっています。それを樫樽貯蔵した『天保二年の約束』は、またひと味違う、うちならではのもち米焼酎に仕上がっていると思いますよ」
若い人たちへのメッセージ
蔵元の思いを伝えたい
宮崎の蔵元たちが集まって、「本格焼酎」とは何か、どんな味わいなのか、本物の味を伝えたいと、焼酎に合う料理のレシピコンテストや、全国のバイヤーが集まる見本市に出展したり、商談会を行ったりしています。うちは、仕込みからラベル張りまでほとんどを手作業で行っています。日々焼酎とともに過ごす私たちの思いを直接伝える機会を少しでも作り、宮崎の気候風土を醸した焼酎を味わってもらいたいです。
会社概要
会社名 | 姫泉酒造合資会社 |
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住所 | 西臼杵郡日之影町大字岩井川3380-1 |
電話 | 0982-87-2016 |
FAX | 0982-87-2019 |
webサイト | http://www.himeizumi.co.jp/ |