アカツキ酒造の歴史と杜氏の思い
地元に愛される味を守る、県境の小さな蔵
高千穂市街から国道325号で約15分、熊本県、大分県の県境もすぐ近くの河内地区にあるアカツキ酒造。創業は近くの田原地区で、近所の農家が出資して昭和9年に作った清酒蔵が始まり。その後、現在地へ移転し、本格米焼酎『暁』を造り続けています。
現在の代表は、60年以上蔵を守った三代目河内利雄さんの妻・キワさんで、嫁いでから夫を支えながら焼酎造りを身につけました。
「焼酎造りは生き物を相手にしているよう。仕込み中は毎日様子が変わるし、同じように作業をしていても去年と同じでもない。だから12月から3月の仕込み中は気が抜けないんですが、それをいつもの味に仕上げていくのは面白いことですよ」(河内さん)。
アカツキ酒造のこだわり
手足のように使い慣れた道具たち
山の斜面を利用して建てられた蔵へは、母屋から急な外階段と中階段を下りていきます。そこには、大切に使い続ける道具たちが作業の順に並んでいました。
入口が米を洗って蒸す工程。現在はボイラーを使っていますが、薪を焚いていたころのかまどや釜も残っています。奥に入ると、三代目が工夫した半自動製麹室や一次仕込みのタンク、常圧蒸留機が並び、一番奥のとりわけ静かな場所に二次仕込みのタンク。このタンクは蒸留後の焼酎を寝かすのにも使われています。
「昔からなんにも変わらないんですよ。何も変えないから『暁』ならではの味があるんです」(河内さん)
昭和50年代頃までは熊本あたりから「蔵子」と呼ばれる人たちが泊まり込みで仕込みを手伝っていたそうです。
何も変えず、同じ味わいを造り続ける努力
昔ながらの本格米焼酎『暁』の原料は地元JAから仕入れ、酵母は鹿児島の酵母を使います。過去に酵母を変えたこともありましたが、「どうも『おとなしくて』、うちの味にならなかった」と河内さん。それ以来、使い慣れたものだけを使っています。
『暁』は蒸留後も蔵の中で約1年半寝かせてから瓶詰めして出荷します。「蒸留して、できたてがいいと言われるお酒もありますけど、うちのは必ず寝かせます。そうすると焼酎が静かになってきて、色も澄んで味わいもよくなってくるんです」(河内さん)
その味わいは米の香りが立ち、軽い飲み口が多くなった最近の焼酎とは、ひとあじ違う力強さを身上としています。
杜氏のこだわり、思い
「昔ながらの味がいい」と飲んでもらう人たちに支えられて
銘柄は本格米焼酎『暁』のみ。20度、25度、35度の度数違いがあり、一番好まれるのは25度だそうです。
「最近は流通がよくなって、いろんな焼酎がどこでも飲めるようになりましたが、昔からの『暁』の味がいいと飲んでもらう人たちに支えられてます。息子が戻ってきて4代目になるまで守らないと」(河内さん)
会社概要
会社名 | アカツキ酒造合資会社 |
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住所 | 宮崎県西臼杵郡高千穂町大字河内1835の5 |
電話 | 0982-75-1612 |
FAX | 0982-75-1612 |
蔵見学 | 不可 |